国際スポーツ大会で開催国は躍進する!獲得メダルから検証してみた。
オリンピックやワールドカップでよく聞く話
平昌オリンピックにロシアワールドカップなどスポーツのビッグイベントが多い2018年。スポーツ好きとしては堪らない1年ですよね。2020年には東京オリンピックが開催されることもありスポーツに対する関心が日本全体としても高まっているのを感じます。現在ジャカルタ・パレンバンで開催されているアジア競技大会をいつもより注目して見ている人も多いんではないでしょうか?
そのアジア競技大会の話で気になることが。それはバドミントンの男子シングルスで桃田賢斗選手が3回戦敗退した時のこと(日本選手が負けた話でスイマセン)。開催国であるインドネシアの選手に敗れることになったのですがその時のコメントで相手選手への会場の応援が凄かったことに触れていました。
まあ当然のことですよね、オリンピックでは開催国(地元)が躍進する話もよく聞きますし。でも実際どれくらいの躍進があるんでしょう?ちょっと調べてみました。
地元選手躍進のポイント
スポーツ大会を開催する国の競技者にとってどういったものが利点となるのでしょうか?思い当たるのは大きく分けて3つ。
1.ホームアドバンテージ
2.大会における開催国特典(開催国枠)
3.ホームタウンデシジョン
競技者として一番大きいのはホームアドバンテージですかね。普段から住み慣れた環境で競技を行うことになれば食事や水の心配もないですし、会場周辺の天候・気候にも対応しやすくなります。さらに会場までの移動距離が短いことで疲労の蓄積も少なくなるはず。時差の影響を受けないこともコンディション調整の面で大きなメリットですよね。
試合会場も普段の競技や練習で使用していることも多いでしょうし、新設の競技場でも地元選手はいち早く試すことができます。そして何より地元ファンの声援が選手に与える心理的な効果は非常に高いはずです。
開催国に与えられる特典は何においても出場枠が確保されること、そう開催国枠ですよね。開催国枠とは本大会に出場するための予選を免除されそのまま本選に出場できる制度のことです。普段の大会ではあと一歩のところで出場を逃してきた競技に出場者を送り込めたり、予選免除で早くから本大会のスケジュールに合わせた調整や強化ができるといった利点があるようです。準備期間が長く取れることはスポーツに限らずかなり大きなアドバンテージになりますよね。
また、国や地元企業が融資してくれることで強化予算が増加したり、地元開催だからと大会出場を目指す人が増える=競技人口の増加も開催国ならではの現象だと思います。他には大会の競技種目に自国の得意な種目を追加できるケースなんかもあります。
3つ目に挙げたホームタウンディシジョンとは“ホーム側を応援する観客による潜在的、顕在的圧力が微妙な判断を要求される場面において、審判に対して無意識に影響を与える可能性がある”こと。審判も人間ですからね。
こうした要因が開催国の競技者たちに精神的、肉体的な優位性を持たせ好結果をもたらしているということですね。
アジア競技大会で検証
実際に数値検証してみます。検証には折角なんで現在行われているアジア競技大会を例にとってみましょう。検証方法はどうするか悩んだんですけど・・メダル数だと参加国・競技種目の数に大きく左右されるので、金メダル数・総メダル数の開催国占有率を確認してみようと思います。比較対象は前後1大会です(期間が離れていると外的要因が多くなりそうなので直近の大会で比較しています)
※表の真ん中の大会が自国開催時です。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
- |
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
-
|
第1回 |
15
|
17
|
20
|
52
|
28.9%
|
33.8%
|
52
|
154
|
第2回 |
4
|
4
|
5
|
13
|
5.3%
|
6.0%
|
75
|
217
|
メダルランキングは2位→5位。競技種目、参加国の増加も関係しているかもしれないが開催国だった第1回大会の方が顕著に良い結果が出てますね。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第1回 |
4
|
4
|
6
|
14
|
7.7%
|
9.1%
|
52
|
154
|
第2回 |
14
|
14
|
17
|
45
|
18.7%
|
20.7%
|
75
|
217
|
第3回 |
9
|
19
|
21
|
49
|
8.0%
|
14.2%
|
113
|
345
|
メダルランキングは4位→2位→2位。開催国だった第2回大会がダントツでいい数値です。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第2回 |
38
|
36
|
24
|
98
|
50.7%
|
45.2%
|
75
|
217
|
第3回 |
67
|
42
|
30
|
139
|
59.3%
|
40.3%
|
113
|
345
|
第4回 |
73
|
56
|
23
|
152
|
63.5%
|
45.8%
|
115
|
332
|
メダルランキングは全てダントツの1位。各大会金メダルが全体の半分以上を占めるなど数字が大きすぎて参考にはならなそう。アジア競技大会開催当初の日本のメダル獲得数は凄すぎる・・
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第3回 |
0
|
0
|
6
|
6
|
0%
|
1.7%
|
113
|
345
|
第4回 |
11
|
10
|
27
|
48
|
9.6%
|
14.5%
|
115
|
332
|
第5回 |
3
|
4
|
10
|
17
|
2.2%
|
3.9%
|
138
|
441
|
メダルランキングは14位→2位→9位。わかりやすい結果になりました。開催国だった恩恵を確実に受けていそうですね。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第4回 |
2
|
5
|
5
|
12
|
1.7%
|
3.6%
|
115
|
332
|
第5回 |
12
|
12
|
11
|
35
|
8.7%
|
7.9%
|
138
|
441
|
第6回 |
9
|
17
|
13
|
39
|
6.6%
|
9.2%
|
137
|
423
|
第7回 |
4
|
4
|
5
|
13
|
2.0%
|
2.2%
|
201
|
589
|
メダルランキングは7位→3位→3位→8位。第5回と第6回は共にバンコクで行われたのであわせて検証しました。開催国だった2大会と前後の大会では大きな差があります。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第6回 |
9
|
7
|
7
|
23
|
6.6%
|
5.4%
|
137
|
423
|
第7回 |
36
|
28
|
17
|
81
|
17.9%
|
13.8%
|
201
|
589
|
第9回 |
4
|
4
|
4
|
12
|
2.0%
|
2.0%
|
199
|
613
|
メダルランキングは4位→2位→7位。イランは第8回大会不参加のため後大会の検証は第9回で行いました。開催国だった第7回大会の数値が圧倒的に高いですね。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第7回 |
4
|
2
|
8
|
14
|
2.0%
|
2.4%
|
201
|
589
|
第8回 |
11
|
12
|
19
|
42
|
5.5%
|
6.7%
|
201
|
628
|
第9回 |
1
|
5
|
4
|
10
|
0.5%
|
1.6%
|
199
|
613
|
メダルランキングは8位→5位→12位。やはり開催国だった大会が1番いい結果に。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第8回 |
11
|
10
|
6
|
27
|
5.5%
|
4.3%
|
201
|
628
|
第9回 |
13
|
19
|
25
|
57
|
6.5%
|
9.3%
|
199
|
613
|
第10回 |
5
|
9
|
23
|
37
|
1.9%
|
4.4%
|
270
|
837
|
メダルランキングは6位→5位→5位。ランキングは3大会ともあまり変わらないが占有率にはまあまあな差が。このあたりから日本、中国、韓国の3強時代に。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第9回 |
28
|
28
|
37
|
93
|
14.1%
|
15.2%
|
199
|
613
|
第10回 |
93
|
55
|
76
|
224
|
34.4%
|
26.8%
|
270
|
837
|
第11回 |
54
|
54
|
73
|
181
|
17.4%
|
18.5%
|
310
|
976
|
メダルランキングは3位→2位→2位。3大会とも高い数値ですが自国開催の数字が飛び抜けてます。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第10回 |
94
|
82
|
46
|
222
|
34.8%
|
26.5%
|
270
|
837
|
第11回 |
183
|
107
|
51
|
341
|
59.0%
|
34.9%
|
310
|
976
|
第12回 |
125
|
83
|
58
|
266
|
37.3%
|
32.6%
|
335
|
815
|
メダルランキングは全て1位。中国半端ないって。特に自国開催の時はとてつもない数の金メダル占有率です。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第11回 |
38
|
60
|
76
|
174
|
12.3%
|
17.8%
|
310
|
976
|
第12回 |
64
|
75
|
79
|
218
|
19.1%
|
26.7%
|
335
|
815
|
第13回 |
52
|
61
|
68
|
181
|
13.8%
|
14.8%
|
378
|
1226
|
メダルランキングは3位→2位→3位。久々の自国開催でメダルランキングは2位になりました。占有率もやはり自国開催の時が抜けてますね。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第12回 |
3
|
9
|
13
|
25
|
0.9%
|
3.1%
|
335
|
815
|
第13回 |
24
|
26
|
40
|
90
|
6.3%
|
7.3%
|
378
|
1226
|
第14回 |
14
|
19
|
10
|
43
|
3.3%
|
3.2%
|
427
|
1350
|
メダルランキングは12位→4位→6位。3強以外での開催が久しぶりでしたが数値的にはやはり開催国の時は高くなります。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第13回 |
65
|
46
|
53
|
164
|
17.2%
|
13.4%
|
378
|
1226
|
第14回 |
96
|
80
|
84
|
260
|
22.5%
|
19.3%
|
427
|
1350
|
第15回 |
58
|
53
|
82
|
193
|
13.6%
|
13.9%
|
428
|
1393
|
メダルランキングは3大会とも2位。前の自国開催と同様の結果に。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第14回 |
4
|
5
|
8
|
17
|
0.9%
|
1.3%
|
427
|
1350
|
第15回 |
9
|
12
|
11
|
32
|
2.1%
|
2.3%
|
428
|
1393
|
第16回 |
4
|
5
|
7
|
16
|
0.8%
|
1.0%
|
477
|
1577
|
メダルランキングは17位→9位→18位。メダル獲得数ではかなり少なめのカタールですがやはり自国開催だと数値は高め。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第15回 |
165
|
88
|
63
|
316
|
38.6%
|
22.7%
|
428
|
1393
|
第16回 |
199
|
119
|
98
|
416
|
41.7%
|
26.4%
|
477
|
1577
|
第17回 |
151
|
108
|
83
|
342
|
35.3%
|
23.5%
|
439
|
1454
|
メダルランキングは全て1位。相変わらずの高水準ですが、やはり自国開催の数値が最も高い。
大会 | 開催国メダル数 | メダル占有率 | 大会メダル数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金 | 銀 | 銅 | 計 | 金 | 計 | 金 | 計 | |
第16回 |
76
|
65
|
91
|
232
|
15.9%
|
14.7%
|
477
|
1577
|
第17回 |
79
|
71
|
84
|
234
|
18.0%
|
16.1%
|
439
|
1454
|
第18回 |
49
|
58
|
70
|
177
|
10.5%
|
11.4%
|
465
|
1552
|
メダルランキングは2位→2位→3位。やはり同じ結果に。第18回大会は開催中なので分からないが雰囲気数値は下がりそう。
9/3更新、第18回大会は大幅に数値が低下しましたね。
まとめ
過去17大会全てで検証してみました。その結果、第3回の東京大会以外で開催国のメダル占有率が前後の大会よりも高い状況だったことがわかりました。こうして見ると開催国のアドバンテージがいかに高いものなのかがわかりますよね。ちなみに今大会でもインドネシアのメダル数は前回を大きく上回っています。
これは東京オリンピックが期待できますよね!是非自国開催の優位性を活かして競技者の方々には頑張って欲しいものです。
時間があればオリンピックでも検証してみようかな。
※おまけ 検証で分かったその他のこと
1.自国開催の前後だと後の方がメダル占有率が高いことが多い(自国開催時の強化が引き続き次大会の好結果につながっているのかも?)
2.日本は初期の頃とんでもなく無双していた。
3.アジアでは中国、韓国、日本が3強で特に中国は半端ない
4.アジア特有の競技やスポーツ競技以外も開催されているのでオリンピックに比べアジア競技大会の種目はめっちゃ多い。
5.17大会検証するのは疲れる…