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女子バドミントンの躍進と女子レスリングの無冠から感じたこと

 

アジア競技大会の結果

8月22日アジア競技大会で女子バドミントン団体が48年ぶりの金メダルを獲得しました!!前回大会まで5連覇していた中国を3-1で破っての勝利です(けど相変わらず中国はどの競技でもパネェーですね)。

選手の皆さん、関係者の皆さんオメデトウゴザイマス!!

昨今の女子バドミントンは2016年リオ五輪の女子ダブルスでタカマツペアが金メダル、2017年世界選手権で奥原選手が金メダルを取るなど素晴らしい躍進が続いてますよね。これまで行ってきた協会の努力が実を結び、今や男子選手も含めバドミントン競技は強豪国のひとつとなった感じ。今大会だけでなく先々も非常に楽しみ。

 

そんな輝かしいバドミントンの一方、同じアジア競技大会で女子レスリングが金メダルゼロに終わりました…そうあの女子レスリングが。これは2002年の釜山アジア競技大会で女子レスリングが正式採用されてから初めての出来事とのこと。これまでオリンピックでも正式種目となったアテネ五輪以降全ての大会で金メダルを取り続け、部類の強さを誇っていた日本のお家芸女子レスリング。それだけに今回の結果は予想外の方も多かったのではないでしょうか?

 

低迷期を乗り越え強豪国になった女子バドミントン。強豪国として結果を残せなかった女子レスリング。この2競技の今から組織のあり方について考えてみます。

 

選手人気を活かしたバドミントン協会

2000年頃までのバドミントンは国際大会でこれといった成績を挙げることもできずパッとしない感じでした。私も正直そんな印象を持っていました(バドミントン関係者の方スイマセン)。そんな状況を打破し強豪国の仲間入りするまでに至ったのはバドミントン協会が取り組んだ『認知』『育成』が実を結んだからだと言われています。

 

世間でバドミントンへの関心が高まるきっかけとなったのは、北京五輪に出場した『オグシオ』こと小椋久美子さんと潮田玲子さんのペアが始まり。この記事を読まれている方にもそうだった人は多いのではないでしょうか?ブームと言ってもいい程の人気を供え、スポーツ誌の表紙を飾ったり写真集を出すなどアマチュア競技の選手とは思えないほどのメディア露出を行っていました。

実はこれら全てバドミントン協会が競技の認知度をあげるために仕掛けたもの。

ではなぜ認知度の向上に力を入れたのかと言うと・・・それは日本の競技システムが関係しているみたい。アマチュアスポーツの競技団体の多くは協会登録選手からの登録料を予算に組み込んでいます。そのため登録料収入を増やすことが協会の運営に必要不可欠!つまり“登録料増加=競技人口増加”という図式が成り立ちます。そこで認知度の向上が出てくるんですね。

 

そして本当に重要なのは協会が増加した予算を惜しみなく選手強化にまわしたことです。小学生の全国大会を創設したほか、ナショナルチームの下にバックアップチームを創設。10代の有力選手を発掘できる環境を整え、技術や経験を積む場を設け長期的な育成を進めてきました。2004年には韓国の五輪金メダリスト朴柱奉氏をヘッドコーチに招聘。勝利へのこだわり、高いモチベーションの維持など選手の意識改革を行い、積極的な海外遠征をするなど世界で勝利することを意識した練習を続けてきたんです。こうした協会の取り組みが近年実を結んでいるんですね。

認知度の高まりから競技人口・資金の増加を生み、それを元に世界で戦える選手を育成するというシステムを構築したバドミントン協会。本当に感服です。

 

女子レスリングが抱える課題

これまで女子レスリングは栄和人前強化本部長を中心に、吉田沙保里選手を筆頭に有望な選手を育てあげ、お家芸とまで言われるレベルまで競技レベルを高めてきました。そんな順風に見えた女子レスリングですが今年に入り栄前強化本部長のパワーハラスメント問題が起こってしまいました。

けどこの問題は栄前強化本部長だけの問題なのでしょうか?

その答えはNOとなるでしょう。もちろん栄前強化本部長個人にも責任の所在はあるでしょう。しかしその状況を作り出したのは、協会が栄前強化本部長に権限を一任しすぎたことに起因すると考えられます。調査をきちんと行わず「問題ない」と発表したり、特定派閥でないと競技を続けていけない環境を生み出したのもこのことが背景があるからだと推測できますよね。

 

それ以上に問題なのは栄前強化本部長の穴を協会が埋めれなかったこと。今回のアジア大会は栄前強化本部長がパワハラ問題で辞任後初めての主要国際大会でした。結果は最初に述べたように金メダルゼロ。この結果は栄前強化本部長に依存していたこと、協会が選手のケアをしきれなかったことを浮き彫りにしたと言わざるを得ません。

 

栄前強化本部長がしたことは許されることではないと思います。しかし選手の信頼や女子レスリングの躍進が栄前強化本部長の元にあったことや選手と協会の架け橋になっていたことも事実ではないでしょうか?この部分を改善し、好結果に繋げられるかが今後の協会に委ねられている問題なのだろうと思います。

問題は常に起こるものです。大切なのはその後どう行動するかですよね。 今一度競技全体だけでなく、選手のための組織作りに力をいれて欲しいと願っています。

 

東京オリンピックへ

2つの競技の今について見ていきました。

選手の人気に着目し競技全体を底上げしたバドミントン協会は素晴らしいの一言。思いもよらぬ視点からプロモーションを始め現在の好循環を生み出した手法はスポーツ組織だけでなくすべての組織が見習うべき点でもあるのではないでしょうか?

一方で個の力に頼ってしまったレスリング協会。上手くいっているときは好結果を出せていても、問題が露呈しパワーバランスが崩れると脆いものだと痛感させられる結果です。その依存度が高ければ高いほど立て直しは困難を極めることでしょう。

 

この2団体を見て分かったことは組織の有り様が選手や関係者に及ぼす影響は非常に高いということ。表面的には関係ないように映ってもその実占めるウエイトは大きいのです。今回の記事を作成するにあたり個人的にも勉強させてもらいました。

 

今大会で好結果を生んだバドミントンと残念な結果になったレスリングですが、両競技に対する東京オリンピックでの国民の期待は非常に高いものです。今回の結果を糧にして東京オリンピックでは最高の結果を出せるよう頑張ってほしいと願っています。そんな両競技を私はこれからも応援していきます。頑張れニッポン!!